bizdev

前払式支払手段とは|Bizdevなら知っておきたい金融知識

ここにたどり着いたあなたは、まさに新規事業を企画しているか、あるいは金融業界に務める方ではないでしょうか。

実は、私は数年前に金融系のスタートアップ企業にいました。
そこで新規事業を開発する際に独自通貨を使った独自の経済圏を創ろうという発想になり、手法論に関して調査をしたという経験があります。
その際に、様々な支払手段とその違いを法的な定義だけではなく、ビジネスとして比較検討しました。

当記事では、当時の私と似た境遇の方に、前払式支払手段とは何か、他の手段と何が違うのかを解説します。

あなたが創るビジネスに前払式支払手段が役立つかどうか、イメージしながら読んでいただけますと幸いです。

こんな人に読んで欲しい

– 前払式支払手段を言葉は聞いたことがあるが意味は知らない
– 前払式支払手段と他の支払手段の違いが分からない
– 独自通貨(ポイント)を発行しサービスに流通させたい
– やりたいサービスは決まっているが、どの支払手段が最適か分からない

前払い式支払い手段とは

様々な決済手段として活用されている前払式支払手段ですが、2017年に多く生まれた独自通貨や、2018年より雨後の筍のように出てきたモバイルペイメントも、実は前払式支払手段であることが多いです。

選ばれる理由は、初期導入や運用コストが比較的に他と比べて安いからですが、メリットばかりではなく、それなりに制限もあります。

前払式支払手段とは「予め顧客に販売できる利用用途を自由に設計できる支払手段」のことです。商品券や交通系ICのような事前に販売(チャージ)できるものが該当します。

デジタルマネーという言葉で一括りにされがちですが、共通ポイント(Tポイント等)のように無料で消費者に付与する形態のものは前払式支払手段に該当しません。(こここではポイントと呼びます。)

法規制に関して

前払式支払手段は顧客から対価を受け取っている故に消費者保護の観点で定められた法規制を受けます。

例えば事前に役所に届出義務があり、供託金を用意する必要があります。

但し、一定の条件を満たすと届出や供託の義務が外れる場合があります。
例えば、発行した前払式支払手段に消失期限を設ける等です。

WEBサービスと相性が良い?

前払式支払手段は商品券のような紙型やプリペイドカードのような磁気型、IC型、サーバー型とデバイスに特に制限はありません。

昨今では、発行コストが易く、プログラマブルに運用管理できるサーバー型が増えていますね。

例えば、漫画アプリやソーシャルゲームでチケットやゲーム内通貨に課金し、それでコンテンツやアイテムを購入した経験はありませんか?まさにそれがサーバー型の前払式支払手段です。

WEBサービスに採用するメリット

WEBサービスの運営者が前払式支払手段を採用する理由は顧客囲い込みと発行益が期待できるからでしょう。

あと、設計次第では下記のような効果も期待できますが、前払式支払手段ではなくポイントでも可能なので、事業の目的によっては規制のなポイントを採用するのも手でしょう。

  • 消費促進(買ったら使わないと勿体無い心理)
  • マーケティング促進(友達紹介するとプレゼントする等)
  • DAUの向上(ログインボーナス等)
  • コストと特性(資金移動業・ポイントとの比較)

消費者心理としては便利でお得な決済サービスを使うわけですが、事業者側はコストと特性を鑑みて、総合的に判断する必要があります。

特に決済サービスとなると、届出や供託金など、金銭的にも労力的にも運営コストがかかるので、目的を果たせるのであれば、なるべく規制が軽い手段を選ぶに越したことはありません。

前払式支払手段とよく比較されるのが資金移動業とポイントなのだが、コスト(届出・供託金・KYCの必要有無)と特性(チャージ・払戻しの可否)表でまとめた。

この表をみる限り、チャージが必要ないサービスなのであればポイントが最適であることが分かりますが、次の章で深掘りして比較してみましょう。

資金移動業と比較

資金移動業者は何ぞやと言う話は、またの機会にしますが、一言で説明すると少額の為替取引ができる業者のことです。

前払式支払手段との一番大きな違いはKYCが必要であることです。
KYCは顧客1人あたり数百円〜1500円程度のコストが発生する上に、UXが格段に下がります。

一方で、資金移動業は前払式支払手段と違い、払戻しが可能です。
モバイルペイメントを例にあげるとわかりやすいですが、PayPayやLINE Payは資金移動業だが、kyashやorigamiは前払式支払手段を採用しているので、店舗決済はできるが現金での払い戻しはできません。

このことだけでも、ビジネスの広がり方は全く違います。
例えば準委任契約の支払は資金移動業だと可能だが、前払式支払手段だと、そもそも出金ができないので、それがなり立ちません。

ポイントと比較

ポイントと前払式支払手段の違いを見分けるのは簡単で、購入(チャージ)せずに顧客が手に入れたものがポイントだと理解すると分かりやすいです。

例えば、suicaのような事前に購入(チャージ)するものは前払式支払手段で、Tポイントのように消費等のおまけとして獲得できるものはポイントとなります。

ポイントは消費者がおまけで貰えるものなので、消費者保護などはそもそも必要なく、資金決済法の監視下にないということです。つまり、前払式支払手段のように届出や供託金は必要ありません。

デメリットはというと、顧客に購入(チャージ)させられないことだろう。つまり直接的に売上を稼いだり、失効益を狙うことはできません。
あくまでポイントは顧客囲い込みの手段だということでしょう。

ただ例外として、ハピタス・モッピー ・げん玉、に代表されるポイントサイトはポイントを最大限活かしたマネタイズモデルもあります。

最後に

あくまで、前払式支払手段の外観や、ざっくりとした比較だったが、イメージは伝わりましたか??

金融というと堅苦しいですが、昨今は金融機関とIT企業との境目が少しずつ溶けつつあり、法律やビジネス視点での違いを知っていることが次の一手を打つ為の武器となると筆者は考えています。

皆様のビジネスに役立つ情報をこれからも発信していきますので、引き続きよろしくお願いします。